「人間以上」シオドア・スタージョン著 矢野 徹訳(1953;ハヤカワ文庫版1963)
超能力者が集まる。人から愛されないという共通の心の傷みを抱えて。X-MenやMARVEL映画が昨今
ウケているところからすると、古今問わず、滑らないSF定番ネタということです。
ネタバレをなるべく避けることにします。。。三章からなり、まず「途方もない白痴」が登場する。
この描写が少々くどいが、ここで放り出してはいけません。いわゆる「序・破・急」構成ですからね、
ぐっとこらえる。実は、第2章が最初に書かれたそうだ。1+2章をちょっと整理して単行化した方が
よかったかもしれないとも思えるが、予想通り第3章で突っ走りますから、どうぞお楽しみに。MARVELの
ようにCGやRPG型の背景がでてくるわけではありません。若い人には物足りないかも知れない。
サイボーグ009(石森章太郎)にインスパイアを与えたと聞いた。反重力装置?天才?001かな?
超人集団のテーマだと、アストロ球団(中島徳博)を思い出す。あれにも双子が出てきた。外野を二人で
守っていて、大きい奴が小さい奴を投げてホームラン打球をキャッチさせる。盲目でファーストを守る
天才バッターも登場。超人はやっぱり弱点を抱えている必要があるのだ。単なる超人では読者の共感を
得られないのだ。古い話なので記憶違いしてたら御免なさい。
本作品は超能力集団話として先駆のひとつなのだろうけど、やはりスタージョンの作風には、社会から
疎外された者の描写に特徴があるように思う。白痴をここまで記述するには、一度白痴になってみないと。
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