「つくろうよ!アンビグラム」野村一晟著(2018)


「天使と悪魔」で:ラングドン教授は illuminati のアンビグラムを見て直ちにCERNへ飛ぶ。連続殺の犯行声明は
earth, air, fire, water, その4語組のアンビグラムの焼印である。小説の表紙 Angels & Demons もアンビグラム。
これを作成したのは John Langdon というアーティストで、Dan Brown は彼に因んで主人公を命名したそうだ。
 Ambigram は「両利き、二義」の文字アートである。餃子の王将(AC/DCに似たやつ)、日清、旧サンマイクロ
システムズなどのように、企業ロゴに好例がある。フリップ前後の言葉は異なる場合もある。英語はたった26文字だから
単純で、専用ソフトすらあるが、漢字を含む日本語ではそうは問屋が卸さない。しかし最近、平成/令和、努力/才能など
の作品で野村一晟氏を知った。漢字で?しかもこの字画で!その驚きの手の内を明かした彼の一冊目が表掲の本である。
 この表紙にある題目も当然アンビグラム。欧米ではレタリングの歴史が、日本には書道の歴史があるので、
仕上がりは別世界である。本書は練習帳の部分もあり、文章は少ない。子供向けのようでもあるが、老人ホームでも
人気らしい。脳や目の習性を逆手に取る、と書いてある。心理学上の「確証バイアス」の応用とみた。その手の内は、
なるほどと感心する反面、彼の字体だからできる、この手法ならこの字体になるだろうとも思う。字は絵だ、と言った
のは岡本太郎であるが、彼の筆跡にも似ていることに気づいた。でも岡本の書を逆さにしても何も出てこなかった...
なお、書家の國重友美さん「花鳥風月」(2010)と一連の作品も二義を与えた傑作と思う。ぜひ検索してみて下さい。


余談:野村氏によると「画数が近くないと難しい」ので、(ひねくれて)逆にスカスカなUECに電通大を合わせた
英和ヘテロな習作。野村メソッドでないタイポグラフィです。まるで隠し絵、趣旨が違ってしまった。



石田尚行をポップなイラスト風にやってみた。これならいいカンジ?






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