「人獣細工」小林泰三著(1997)
堅いことを言えば、生い立ち不明な少女の自我、自己、アイデンティティを求める独白が主体のホラー。
デビュー作「玩具修理者」では「生物とは何か」、「人獣細工」では「人間とは何か」という命題。重厚な
題材ではあるけども、結局スプラッタな娯楽小説。こういう作風を手に取れる人と避ける人に二分されるだろう。
私は手に取る人です。そして手に取った人はきっと期待を裏切らない読後感も手にすることができる。
「世界初『ブタの心臓をヒトに移植』、手術後も順調」というニュースが 本年1月12日に世界を駆け巡った。
この患者は手術前に装着していた人工心肺装置ECMOを外すことができたという(朝日新聞、読売新聞他)。
ここでは拒絶反応抑制の遺伝子改変ブタが使われており、先行研究も臨床応用もなぜかブタが多い。
ところで、ECMOと言えば。。。我国ではコロナ患者の死亡率が世界各国に比べて低い。その原因はDNAだ
とか生活習慣だとか言われることもあるが、医師と医療技術者のおかげだと声を大にして言いたい。ECMOを
常備する医療機関は多く、技師の操作技術も高い。医療従事者の労苦にもっと感謝しなくては。
遺伝には蚊やらウィルスやらが媒介する水平伝達がある。異種臓器移植では異種DNAもRNAも何でも混ざる。
ヒト細胞の再生医療でもヒトの臓器をブタに育てさせる方法があるが、同じ問題を抱える。懸念材料も多いが、
生殖機会のない方ならもっと積極的に使ってもよい医療技術になるかと思う。ECMOを恒常的に外せない患者は
「死ぬか移植か」という選択問題に直面する。ヒト心臓移植にトラウマのある我国では異種心臓移植は
特別に意義深い。あなたらなブタの心臓を受け入れますか?腎臓は?皮膚は?耳は?尻尾は?難しい選択だ。
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