「対話による日本語教育」倉八順子著 (明石書店 2025年8月)


 チュクロワ大学@トルコのアイ博士のSNSで、本書のPRがあり、目次に興味あるコラムがあったので本書を手にした。
彼はスビヌルさん(星月スビさん)と昨年結婚し、今年8月13日に女の子アジアちゃんを授かった。スリーショットの
写真が届き、幸せを分けてもらった。少し前に結婚写真も見たが、日本人だと撮るのも見るのも照れちゃう内容だったね。
 本の中では「旦那は)研究で1年間東京大学に来た」と書かれていたが、くすぐったい誤解は放置するに限るが、
実際に来たのは本学で、2022年10月から1年間在籍した。国費派遣なので、トルコ大使館職員に読まれてもよいように、
念の為誉めておくと、在籍後の業務から共著論文3報書いているから優秀である。でもこっそりプライベートでも充実して
いたようだ。というのは、彼はあるカフェで、滅多にないことだがトルコ語を耳にした。驚いて振り向くとトルコ語を
勉強中の女性がいたので、声をかけた。そうしてアイ博士は日本に来た目標を達成したのだった。Youは何しに日本へ?
 彼の来日は小島東大名誉教授のツテだったので、小島先生宅で婚約パーティを開いていただいた。そこでスビさんの
人柄に触れることができた。ウィグル語、中国語、日本語、英語、トルコ語、他にもいくつか話せるマルチリンガルの
才媛で、気遣いよくて朗らかで、おまけにベッピンさん、アイ君にはもったいない(アイ君が日本語を読めないことを祈る)。
星と月をあしらったペンダントを指差して「彼の名前はトルコ語で月、私の名前は星なの」などとのろけまくられました。

 ところで、著者の倉八さんが節度をもって書かなかったことがある。中国では漢化政策のため人権が蹂躙されており、
まさにそれを目の当たりにした。新疆ウィグル出身の彼女は中東系の顔立ちでムスリム。留学で来日を果たすが、政府から
監視される。反体制分子扱いされるので帰国できない。両親に会えない、こちらにも呼べない。自身は中国籍離脱のため
日本へ帰化したい。それには1年分の納税証明が必要で、会社勤めで今頑張っている。帰化したら直ちに結婚したい。。。
 スビさんがマルチリンガルなのは生まれた地の宿命だったからなのだ。逞しい精神を持たねば生き抜けなかったのだ。
写真を見るたびに、意味慎重な名前をもらったお嬢さんとお父さんお母さんの今後に幸あれと、切に祈っております。
 




  • ブラウザの「戻る」で戻ってください。