「温泉教授の温泉ゼミナール」松田 忠徳著 (光文社文庫 2001)
「温泉教授の日本全国温泉ガイド カラー版」松田 忠徳著 (光文社文庫 2002)
昭和人で東京下町出身者であれば、熱い風呂が好きである。遠刈田温泉(源泉掛け流し)に行ったときはあつい湯と
称する46度の湯を楽しんだが、学生は入れなかった。那須高原の鹿の湯では44,46,48度の湯舟があり、48度の方では
一人ずつで入る;波を立てられたら悶絶する。正月に行った伊香保温泉の露天では、源泉温度45.8度に近くてあつい
湯の方で丁度良かった。昭和の風呂の標準温度は42-45度だったが、私の体感によれば、昨今風呂は42度前後が多い。
表記の本の出版時期は、温泉旅館でレジオネラ菌集団感染により死者が出たことが問題になった頃である。その
報道により風呂でそんなにも怖い菌が発生するのかという意識が高まった。これに対する行政指導は、塩素殺菌を
しっかり行えということであり、え?そこ?と耳を疑った。温泉と称しながらまるで銭湯じゃないか、不当表示だ、
と疑問を抱いた方も多かったと思う。温泉の経営の現場ではこれも『温泉』のようだが、化学者の指導を受けて欲しい。
再加熱したら溶存気体が遊離し、濾過したら湯の花は除去され、塩素添加したらH2Sなどがもたらす還元的雰囲気が
酸化側へ転じる。それらに比べたら水道水で希釈するなんて(それもけしからんが)可愛いものだ。
著者の温泉教授はホントに先生で、札幌国際大学で観光学などを教えておられた。洞爺湖温泉出身だそうで、この
問題は出自の誇りに賭けて看過できなかったのであろう。悪貨は良貨を駆逐する。売らんかなの大規模近代化『温泉』
は巡り巡って温泉への不信を招く。そこで著者は警鐘を鳴らす:源泉掛け流しであるかを利用者が確かめろと。
全く同感です。成分が台無しの『温泉』が、もし湯治の効能を謳っていたら、景品表示法違反で訴えてやる。消費
者庁さん黙認ですか?著者が温泉場出身つまりあちら側の身でもあるがゆえ、追求が少々手ぬるい(風呂だけに)。
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