ケルンお断りしません。
「Köln 75」(ドイツ映画、2025)&「ケルン・コンサート」(山口ちなみ、2025)&
「The Köln Concert」(Keith Jarrett, 1975, ECM)
キース・ジャレットは脳卒中の後遺症によりほぼ引退状態だが、あの「ケルン」から半世紀の節目を迎え、
映画「Köln 75(邦題:1975年のケルンコンサート)」と山口ちなみ「ケルン」が公開された。
彼の録音は「背後で志村けんが聞こえる」ので、私個人はそれが気になる。それは没入度に依る。実は75−
80年頃は唸りはまだもそれほど耳につかない。休養からの復帰盤「Melody at night, with you」(1999)
はさらに唸りがなくていい。のちのスタンダーズの前哨と見られるがソロである。さて。。。
「ケルン」の誕生秘話にはいろいろ尾鰭が付いている。ピアノの調律が悪い、会場オペラ座の開演時刻は
23時30分、キースは長い陸路移動で疲労困憊で腰痛、興行主は18歳の女性。ところがその録音は世界で
最も売れたソロピアノレコードとなったのだから、愉快痛快、映画ネタにもなるわけだ(その女性が主人公)。
キース「ケルン」はジャズか? 当時フリージャズが席巻していたのに、そんな拳打ち肘打ちは皆無、
極めてメロディアス。内省的であるが陽キャラもあり、牧歌的なところもある。冒頭の5音G-D-C-G-Aは
直前に聞こえたオペラ座の開演チャイムで、そこから交響曲長の演奏を全て即興する。集中力が半端ない。
プログレに似たリフの陶酔感があり、変奏していくスタイルはまるでバッハ。コンサート作品としての品格
がある。結論として「ケルン」は単に「音楽」−しかも極上の−と呼ぶのに相応しい。
山口「ケルン」はジャズか? ケルン採譜譜面をクラシック演奏家が再現したのである。リズム感はキースと
違ってオフビートと揺らぎが弱い(多分腰クネってない)。ジャズの定義「即興とスイング」とは相容れない。
音楽を譜面で記録した時代には譜面再生者が必要だったが、今は録音がある。現代に音楽家という存在を再定義
すると、再生者ではなく即興家を指すであろう。山口作品が音楽の歴史の一局面と捉えると、これは個人の
キャリアの変遷にもあてはまる(かもしれない)。きっと彼女はジャズへ進む。勝手な将来設計ですみません。
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