番外編
番組評「天体戦士サンレッド」くぼたまこと原作 (TVK、2008)。


 首都でもないここ神奈川県川崎市溝の口で、世界征服を企む悪の組織が、正義のヒーローとの
戦いを繰り広げる。この超ご当地アニメは、最近めでたくニコニコから世界征服(放映)を果たした。
 20年前の溝の口駅前は「アメ横」と似た、雑然とした街だった。デッキもマルイもない姿を
今から想像するのは難しい。 新宿をジュク、池袋をブクロ、溝の口をノクチと呼んだ、あの昭和の
頃である。南武沿線道路は津田山で途切れていて、渾沌とした溝の口には入るのも出るのも大変
だった。現在では東西とも幹線道路が全通して、バスターミナルも整備されて綺麗になった。
 サンレッドは現代劇だが、舞台となる西口商店街に昭和の面影が残っている。昼は八百屋、
夜は立飲屋になる角がある。その横にモツ料理二の鉄がある。線路に面しているので、アニメの
描写では電車の騒音が会話に重なる。気の毒なことに2年前に大火で焼失したところもあるけども、
今も元気な床屋、古本屋、和菓子屋、定食屋さんにはこれからも頑張ってもらいたい。「たまい」は
つくねが旨い。ホライのコックが悪の一味だったとは、これを見るまで気付かなかったね
(注:あの場所は南甫園で、ほんとの蓬莱は長崎屋先にある)。ローカルネタですみません。
 注目したいのは、ストーリー全編を覆っている下町感覚である。「あーら、△△の奥さん、
いいお天気ですわねぇ」とか「◯◯の煮物を作り過ぎちゃったから、お分けするわ」とか。
私は東京下町の出身だけれども、溝の口にもこんな情緒がまだ残っていると思うと嬉しくなる。

 祝!シーズン2製作決定。マルイにポスターが貼ってあった。



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