映画評 「セッション」 (2014) と 「La La Land」 (2016) (デミアン・チャゼル監督)
今、目が離せない監督さんです。メジャー作品2本目 「La La Land」 で監督賞他オスカーをマルチでゲット、
しかも弱冠31歳だそうだ。「セッション」でも、録音賞とか助演男優賞(あの鬼先生)を獲っています。
「セッション」は原題と関係なく付けられた邦題で、原題「Whiplash(鞭打ち、シゴキ)」。そういう内容と
ジャズの曲名に掛けてある。鬼気迫る練習と本番。ミュージシャンは音楽を通してわかり合えるゾーンがある。
鬼先生と教え子は結局理解し合えたのか、和解したのか。人によって結末の解釈が分かれるかもしれない。
ところで、本映画は昭和の教育者にとっては必見ではないかと思う。どこまでが指導、どこからがしごき?
パーカーはシンバルを投げつけられて強くなった。シンクロの井村コーチは弟子たちにきっちりメダルを取らせた。
これらはもはや昔話になってしまうのか。昭和の先生と平成の学生との間で、指導としごきの境界の理解がかなり異なる。
ナニクソと跳ね返るかポッキリ折れてしまうかの臨界点の位置がかなり異なる。その齟齬が研究室運営をこじらせて
いる現実を、最近目の当たりにした。難しい問題なのだ。映画ごときで考え過ぎかもしれんな。
「La La Land」は、ジャズ映画とか音楽映画という噂を耳にしていたが、実はラブストーリーだった。
始め鼻歌、最後鼻水と評した方がいらっしゃる、切ない結末なのだ。「セッション」の鬼先生が端役で
出てきて、”You're fired !” 2016の流行語?を喋らせる。それから「雨に唄えば」「シェルブールの雨傘」
「ムーラン・ルージュ」っぽいシーンが出てくる。その筋に詳しい人は多くのオマージュを読みとれるらしい。
映像は大変綺麗だし、音楽は良いし、エマ・ストーン可愛いし。ドラマ仕立て部分が多いから、ミュージカルは
ちょっとという方にも受け入れやすい。総じて心に残る良い作品だった。
ヒロインが音楽に惹かれて店に入るところのテーマ、エピローグでもう一度耳にする。これが心に滲み入らない
人は音楽を聴く資格がない、といっても過言ではなかろう。映画を観た帰り途で、OST盤をつい手にしてしまう
客が多いと聞く。かくいう私もそのひとり。
さて、古いテーマであるが、あなたは夢と恋人のどちらを選びますか?私はやっぱり夢の方かな。だって恋人は
いくらでも替えがあるからね。(な〜んちゃって、言ってみたかっただけです。。。)
ブラウザの「戻る」で戻ってください。